[]法学教室2007年4月号(N0.319)

 書店で立ち読みしていたら気になる連載があったので購入*1


①エンジョイ行政法(第7回)
 ゲスト手島孝(九州大学名誉教授)
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!?ということで、母校の大御所登場ですね。
自分としては、今回のテーマである「学としての公法」と同題の

学としての公法

学としての公法

が、生協六本松書店に並んだその日に、著者名買いした記憶があります。知る人ぞ知る、憲法行政法行政学のそれぞれの分野で、『アメリ行政学』を手始めに数多くの著書を書かれ、『学としての公法』を読めば分かるとおり、独自の学問体系を模索されている碩学ですので、ぜひ母校で行政法を学んでいる学部生の方々にも知っておいて欲しいところです。 
 しかし、この「エンジョイ!行政法」という企画、他の回を読んだことがないので良く分からないのですが、少なくとも第7回を読む限りでは、非常に濃い内容ですね。手島先生の学問観から始まって、学問体系、公法概念、財政・計画・行政の私化の位置づけなどなど。扱っているテーマの壮大さに比べると対話形式なのでサラッと書かれているような気がしますが、何せ研究者間の会話ですから含意していることは、私などのような無学者が理解できないほど深いのだと思います。
 ちなみに、この連載を読んで「エンジョイ!」している人たちというのは、研究者や院生は別にして、やはり行政法オタクとか行政法マニアとか呼ばれるんでしょうかねえ(;一_一)


②展開講座「行政組織法・公務員法」(第1回)
 宇賀先生の連載がスタートしたようで、実はこちらが目当てで買いました。改めて言うまでもなく、宇賀先生といえば、情報公開や行政手続の著作で実務でもその名が知れ渡っていますし、研究色は抑えつつ「法的仕組み」を採用して比較的分かりやすく書かれている

行政法概説〈1〉行政法総論

行政法概説〈1〉行政法総論

行政法概説〈2〉行政救済法

行政法概説〈2〉行政救済法

や、自治法についてコンパクトにまとめられている
地方自治法概説 第2版

地方自治法概説 第2版

などは、恐らく今後の行政法自治法の学部レベルのテキストのスタンダードになるものと思います。また、
国家補償法 (法律学大系)

国家補償法 (法律学大系)

は、行政法ゼミなどで国賠ネタを扱う場合には必読文献(あとは、阿部先生も必読でしょうか。)です。
 今回の連載の対象である行政組織法及び公務員法は、学部レベルでは行政過程論の講義などで必要最低限度しか触れられることは無いのですが、独立行政法人化や耐震強度偽装でクローズアップされた指定機関の問題など、今後、更に行政の民営化・私化による施策の実施主体の多様化などの関係で、実務的にも学問的にも重要なテーマです。私は、学部時代に立法学ゼミで学ぶ必要があり最低限度かじることはしましたが、実務的にも重要なテーマかと思いますので、ぜひ現役学部生の方にはきちんと押さえておいて欲しい分野だと思います。
 なお、既刊の行政組織法・公務員法の有名なテキストとしては、
行政法〈3〉行政組織法

行政法〈3〉行政組織法

と、かつては良書普及会から出ていて、現在では新たに有斐閣が出版している
行政組織法

行政組織法

があります。
 今後、宇賀先生がこのテーマをどのように論じていかれるのか興味津々です(^_^)

*1:ちなみに、法教を買ったのはこれが初めて