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商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)

商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)

 商店街の誕生・発展・衰退の歴史を、政治・社会・経済など多様な面から分析している本です。研究者の方が書いている新書で、脚注等も新書としてはかなり充実してます。正直、この分野についての背景知識があまりないので、内容の妥当性についてはよくわからないのですが、非常に読み応えがあり勉強になりました。*1
 内容については、ぜひ読んでいただきたいので、細かくは触れません。ただ、大規模な郊外型ショッピングセンターが珍しくなくなった今日では、「商店街」という存在は、失われしまった「古きよき時代」を連想させるノスタルジックな雰囲気によって語られることが多い中、著者が本書で描き出す商店街の歴史は非常に冷静かつ鋭く、過去の商店街にまつわる都合よいところだけを紡ぎだして郷愁に浸るような内容にはなっていません。
 私としては、この本に書かれているような商店街が形成されてきた背景に対する理解なり分析なしには、本当に商店街の再生や中心市街地の活性化はうまく進まないものと考えていますので、街づくりや商店街再生に興味がある行政関係者には読んでいただきたい1冊だと思います。

*1:個人的には、もう少し詳論が読みたいという気もしたのですが、流石に新書本でこれ以上の内容を書いてくれというのは流石に欲張りな話しです。