自治体職員の行政法的素養

 …このタイトルを読んで、村上淳一(編)『法律家の歴史的素養』(東京大学出版会、2003年)を思い出した方は、よほどの「こだマニア」ですね(←特定少数のウケを狙ったネタなので、分からない方はスルーしてください)。

 で、最近思うのですが、職場柄で他課から法律相談を受けることがありまして、その際によく考えるのが「自治体職員の行政法的素養」というのはいかほどかということです。もっと一般化して「法的素養」と言ってもいいのかもしれませんが。

 ということで、「新人職員向け」で恐縮ですが4問だけチェックテスト…


①あなたが毎日行なっている業務の根拠は何ですか?
(条例・規則・規程・要綱・要領・上司の命令等)


②あなたが毎日行なっている業務は法的にどのような意味を持つか説明できますか?
行政処分、行政指導、事実行為、私法上の契約等)


③あなたが毎日行なっている業務に納得がいかない住民は、どのような方法でその是正を求めてくることが可能ですか?民事訴訟ですか、行政訴訟ですか、それとも法的には打つ手なしということ請願・陳情・苦情処理になりますか?仮に、訴訟が提起できる場合には、どのような訴訟類型が考えられますか。


④あなたが毎日行なっている業務に絡んだ最新の判例の概要は何ですか?



 さて、全部答えられましたでしょうか?まあ、更に行政手続に関することだとか、処分基準に関することだとかチェックすべきことは多々ありますが、とりあえず、この4つのうち1つでも疑問アリと思う方は、しっかり調べておかれた方がよいですよ。

 まあ、私の場合によく分からんのが①でありまして、今やっている仕事のどこら辺までが法律・政省令・条例・規則事項で、どこからがそれより下位なのかイマイチはっきりしない部分が(;一_一)

 なお、他課の相談を聞くに「要綱」やら「要領」に依存してしまって、それが平然と処分の根拠条文の如く取り扱われている現状に閉口することもあります。いや、別に内部的には職務命令の一種として威力絶大なわけですが、「住民から訴訟に持ち込まれたら説明どうすんのよそれ」みたいなことが無いわけでもないorz