年金の運用利回りでマイナスが出た件に関する雑感

GPIFの07年度運用利回りは5年ぶりマイナス、運用改革論に影響も(平成20年7月4日 ロイター)

とのこと。
 国内大手新聞社の記事のリンクを貼ってもよかったのですが、マイナス5兆円という金額ばかりが先行報道されて詳しい話が見えにくい部分があったので、数字が細かく載っていた*1ロイターの記事リンクを貼っておきます。


 以下、この手の話にはズブの素人であるotsukare_modeの雑感なのですが…。


 運用資産額119兆8868億円に占める市場運用分が91兆3073億円とのことですから、この市場運用分の1%相当でも0.91兆円となってしまい、5兆円の損が出たというのは、サブプライムローン問題絡みでの金融不安があった平成19年度の年金資金の運用実績として、「この程度の損失で済んだからよかった」という認識なるのか、「こんなに損失が出るというのは問題だ」という認識になるのか、実際のところよく分かりません。ただ、金額的に見ればまことに巨大な数字でして、個人的にも自分達が給料から天引きされているお金(←公務員が加入してる共済とかの金は、別系統で運用されているのかもしれませんが、そこら辺の話は詳しくないのでよく分かりません。一般論としてのお話です。)でコレだけの損を出したという話であれば流石に頭にくる部分もありますし(ただし、あくまで短期で損失を出したという話で、長期の目標利回りは上回っているとの事ですが。)、公人としてはこの5兆円をうちの自治体にまわしてくれれば財政赤字など一発でふっ飛ぶだけどなーとか、邪なことを考えたりしてしまいますた(-_-;)


 今回の報道に対して、金融関係で資金運用のお仕事をされている方とかは、どうお感じになってらっしゃるんでしょうか?


 ちなみに、比較にはならないのですが、地方公共団体の現金・基金等というのは安全性(と流動性)を重視して運用されているのですが、東京都の平成19年度の資金管理実績は、基金の利回りが0.837%、歳計現金等の利回りが0.300%)とのことです。まあ、低金利時代なのでしかたない部分はありますが、みなさんの大切な大切な老後の資金が、正直、この程度の利回りで運用がされたりなんかしたら、それはそれで困るんじゃないでしょうかねぇ…。

(参照)
○平成19年度資金管理実績(年間及び第4四半期)について

 ちなみに、東京都の以下の資料は、色々読んでて勉強になります。まぁ、当たり前のことが書いてあるといえば、そうなのかもしれませんけど。

○東京都資金管理方針(PDF)

○平成20年度資金管理計画の策定について

○平成20年度資金管理計画


 最後に同記事によれば、

 自民党などで公的年金の運用改善に向けた改革論が熱を帯びているが、ポートフォリオの6割以上を国内債券に配分するGPIFでさえ単年度で運用損を計上したことで、高いリターンを求めて株式などリスク性資産の投資配分を引き上げた場合に膨らむリスクの問題についても議論が高まりそうだ。

とのことで、つい先日まで、外国のSWFの成功を例に、外貨準備や年金を原資とした積極運用すべきという議論を盛んにやっていた方々には、相当頭を冷やす材料になったのではありますまいか。

*1:そりゃあまあ、ロイターなんてそっち系の業界情報を集めている訳で当たり前といえば当たり前ですが