使用料について考えながら

 受益者負担について、何も書いていない=何も考えていないと思われると困るので、最近考えていることを少しだけ。実は、受益者負担についてまったく筆が進まないのは、かなり根本的な問題が自分の前に横たわっているからです。あまり、抽象的な話をしてもどうかなので具体的な話をするならば、「自治法が規定する使用料、即ち目的外使用料と公の施設使用料についてなのですが、後者って受益者負担なんですかね?」ということです。


 目的外使用は、公物法的には特許使用で、大まかに言えば私人が本来行政財産を使用収益する権能がないところに権利設定することで徴収する反対給付という整理になると思うのですが、公の施設の使用関係は、行政財産の本来的使用で、禁止行為を解除する許可行為は観念できても、使用自体については住民であればそれを使用する権利を有していると見るべきで、それを果たして反対給付とかいっていいものか。
 一つの整理として、「使用料=受益者負担」という捉え方が間違っていて、「使用料=受益者負担としての使用料+受益者負担ではない使用料」とするか、あるいは、「受益・対価性・反対給付」といったところの考え方をもう少し突き詰めて考えれば解決する問題なのかもしれませんが。


 このことで思い出したこととして、一昨年の卒業研究における「ごみ処理手数料」について、廃掃法改正前の旧厚生省見解で、廃棄物処理手数料は自治法上の使用料ではないというものがあって、では自治法上の使用料っていったい何なのという論争を交わしたことがありました。このときは、「自治法規定する『特定のもののためにする事務』とは、使用料が使用料たるための条件であって、そもそもその条件に該当しなければ、名称はなんであれ租税ではないのか」という立場と、「使用料には2種類あって、ひとつは『特定のもののためにする事務』に対して支払う対価としての本来的使用料と、『特定のもののためにする事務』ではない事務についても形式的に対価性が認められれば徴収される形式的な使用料の2種が観念できて、両者とも使用料という法形式であることに変わりがないのだけれども、自治法はあえて前者のみを自治体が徴収できるとしただけ」という立場に分かれて激論を交わしたことがありました。


 まあ、ここら辺で自分の考えが煮えきっていないこともあり、執筆もなにも進まないわけですが…。田舎だと、読める文献も少ないしなぁ。まぁ、何とかします。