新銀行東京に対する追加融資について

 新聞等で数多く取り上げられていることですが、東京都の新銀行東京に対する400億円に渡る追加融資の件について自分なりに注目しています。あまり金融問題に詳しくないので、なんと言うかただの素人的な感想なのですが…
 そもそも、なぜ、東京とはわざわざ政策的に銀行を作る必要があったのでしょうか?銀行の貸し渋りに対して対策を講じる必要性があったのであれば、従来からも地方公共団体では低金利融資等を実施しているわけですから、それらの延長線上で商品のバリエーションを増やすとか、規模を大きくするとか、そういう方法で対応するだけでもよかったのではないかと思うわけです。ある程度、景気が回復すれば、企業の資金繰りというのはよくなっていくでしょうから、わざわざ新しい銀行を作るとか大技を繰り出す必要はなかったのではないかと。
 もちろん、貸し渋りが改善した後も、中小企業の事業者の方に民間銀行等への不信感はある程度あったとは思うのです。自分でも学生のころ、酒の席でですが中小企業の社長さんからその種の話は聞いたことがあります。その意味で、新銀行東京の存在意義がまったくなかったというわけではないのでしょうが、国も政策金融機関等を有しているわけで、東京都がわざわざ新たな銀行を作る必要性はないと思うわけです。銀行を作ることが手段から目的化してしまうから、銀行の貸し渋りが改善されていながらも、融資実績を上げるために返済能力の劣る企業への貸付を拡大させていくわけでしょう*1
 旧経営陣の問題云々という話もあるようですが、株式の80%超を保有しておきながら都の責任問題が回避できるはずはありません。この局面での400億円の投入をして事業が破綻する(まあ、事業売却につなぐための追加出資だと思うわけですが)ことにでもなれば、住民訴訟の泥沼にはまるのではないかと思ったりもするわけです。もちろん、それらを承知の上での追加出資に関する議案提出なのでしょうが。

*1:逆に、「原則無担保・第三者保証不要」という宣伝文句だけ聞けば、集まる企業はどちらかといえば経営状態がよろしくない方が集まってくるでしょうし商品設計、というかコンセプトそれ自体にも何がしかの問題があったのではないかなあと。