思うことなど。

 「橋下大阪府知事が国直轄事業負担金を最大2割カットへ」(平成20年2月5日配信 産経新聞)とのこと。

 大阪府民の方や大阪府内の市町村が、「今の府政のあり方には、納得できない。府は、府民の意見に耳を傾けようとしない。違法だとは分かっているが、私は税金・負担金は払わない。」とか思っているのなら税金や負担金は払わなくていいんですね。分かります。


 行政を預かる立場にあるのですから、現行の法や制度を尊重するということも首長の大切な仕事です。首長自ら制度に従わないと言うのであれば、住民の方々にどのような顔をして公権力を行使し法を守らせることが出来るでしょうか。国に対して争うなら司法的な方法を使うとか、知事会なりで取り上げ政府に圧力をかる等の政治的方法によるのか、国からの各種の任意調査等の拒否をするという実力行使に出るとか、法や制度に反しなくてもいくらでもやり方はあると思います。(私は、国と地方が不用意に争うのはよいことだと思っていないのですが、)国と争おうとするのであれば、なぜ、そういう方法を用いようとしないのでしょうか。府営事業でも、市町村や地元受益者から負担金を取ったりする事業はあるはずですが、自らの論法を彼らからぶつけられた時に、大阪府はどうするのでしょうか。


 もし大阪府が負担金を一部払う気がないのなら、国の方も、大阪府に負担を求める事業においてカット割合に相当する額を事業費から削るとか、大阪府が行っている国庫補助事業を引き上げるとかして徹底的に対抗措置を講じた方がいいと思います。そうでなければ、他の都道府県との間で不公平感が生まれてしまうでしょう。もちろん、国が対抗措置を取れば犠牲になるのは大阪府民の皆さんでしょうが、知事の言うように、それが府民の意思や価値観だというのであれば府民の方が一定の不利益を被るのはやむをえない話で、どうしても事業をやりたいのなら大阪府が借金を担いで頑張ればいいだけのことです*1


 私は、仮に国営事業の受益が、全国又は一定地域の都道府県に均一に分散していくような性質のものなのであれば、地元負担などという制度は不要だという言い方も出来るとは思うのですが、一般的に言って国営事業の受益というのは、事業対象地区の都道府県が最も受益を受け、周辺の都道府県の受ける受益というのは、対象地区のそれよりは少なくなるでしょうから、事業を行う地域から一定の負担を求めるのは当然の話ではないかと考えています。また、地元に仮に負担をまったく求めないといことになると、地元側はただで公共事業の恩恵を被れるわけですから、事業に対する要望というのは次第にエスカレートしていき歯止めが効かなくなります。もちろん、住民の税金で得た財源の支出する立場から、国の行政経営の効率が悪いうちは負担金を払いたくない主張であればそれは立派で、まったくその通りだと思うわけです。でも、それを実際にやってしまったら行政活動の財源確保などできるわけがないですし、負担金を人質にして、制度に反してまで金を払わないというのは、先ほど述べたとおり行政の長としては適当ではないと思います。


 橋本府知事については、今回の件とは別にも、国のダム建設に伴う「付替え道路」について、ダムは要らないが付替え道路だけ国の予算で作れという筋違いな発言をしていたように記憶しているのですが、国を相手に喧嘩するのは結構なものの、もう少し論理的というか筋の通った議論をぶつけて世論を喚起していくべきなのではないかなと思う次第です。知名度が高い人なんですから、正攻法で攻めて言っても十分にマスコミなり住民の人の関心は集まりますよ。せっかくの知名度なんだから、正しい方向で活かして欲しいものです。

*1:それが出来るとは、思っていませんが。