公務員試験の話(その弐)

 前傾のアエラの記事に、

「公務員の安定性に魅力を感じることはもちろんのこと、『利益を追求しない』『地域に貢献できる』といった安定以外のイメージを持っている。もはや公務員イコール地味ではなく、『競争より共感・協働』という最近の学生のライフスタイル志向にマッチしているのでしょう」

とでていますが、世の中そんなに甘いものじゃないですし、公務員はそんな抽象的な仕事をやっているわけではありません。


 用地買収で必死に地権者を説得したり、ケースワーカー児童相談所等で厳しい社会の現実を見たり、税金の滞納処分をやったり、裏社会の人達を相手に仕事したり…そういう意味でも厳しいですし、1日中住民の方から罵倒されても過ごしていけるだけの精神力と、鬼のような残業で1〜2週間程度なら睡眠なしで生活できるぐらいの気力・体力は必要です。また、数億から数十億の単位の公金の執行に携わったり、行政処分をしたりして、住民の生命・財産と直結した仕事をやるわけですから勤務年数に関わりなく高い職業倫理も要求されます。その他、2〜3年の異動で、まったく以前とは関係のない業界の方とお付き合いしたり、業務を勉強したりしなきゃいけません。


 利益を追求しないなんて言えば聞こえはいいですが、その分、適正な財務運用を求められるわけで、判断を誤れば自治体等であれば市民団体から住民訴訟等を起こされるというだけのこと。株主代表訴訟なんて、そんな高い割合で起こされることはないと思いますが、住民訴訟の事例など言うのはいくらでもあります。 加えて言うなら、民間企業は社員を雇用し、社会にモノやサービスを提供し、そこで得た利益の中から税金を払ってもらっているわけで、公務員というのは、その税金を政治の定めたとおり、社会に再配分しているに過ぎません。市場を健全な状態に保ち、かつ、市場の失敗を補完し、市場で提供しにくい公共財を供給するのが行政の仕事なわけですから、「利益を追求する」ことに対して正当な評価が与えられないような人には、公務員は向いていないと思います。ちなみに、利益を追求しないとはいいますが、私は初の配属先で、「前任者は10億売った。お前は、最低でも4億は稼いで異動しろ。」ぐらいのことは言われ、年度売上げ目標が設定され、胃が痛くなりながら自治体の財産処分のお仕事をやったりしてましたw
 「公務員の安定性に魅力を感じることはもちろんのこと、『利益を追求しない』『地域に貢献できる』といった安定以外のイメージを持っている。もはや公務員イコール地味ではなく、『競争より共感・協働』という最近の学生のライフスタイル志向にマッチしているのでしょう」



 あと、地域社会に貢献したいのであれば、公務員になるよりは民間で働いて企業活動に携わり、しっかり税金納める方がよっぽど地域社会のためになると思うんですが。どうでしょうか?どうしても、というのなら民間で働きながら土日でボランティア活動すればいいだけの話(私も中学・高校と6年間ぐらいはそんなことしてました)です。なんで職業として、それを選ばないといけないのか、そこをしっかり考える必要があると思います。