大学文系新入生向け読書のススメ(その3)

過去2回は、入門的な本の紹介をしていましたが、今回からは具体的に、大学の新入生などを想定した読書力のトレーニングについて書きます。

まず、とりあえずの目標ですが、授業とは無関係に、岩波新書又は中公新書クラスの本を毎週1冊は読破するペースになることを目指すのをお勧めします。高校時代というのは、授業の教科書は薄いですし、読書好きの人でも小説やエッセイなどを読むのが中心で、あまりロジカルに書かれている文章をまとまった量読み込む訓練はしていないでしょう。また、社会経験が少ないので、本を読むバックグラウンドの知識も不足しています。そこで、とりあえず上記を目標とします。

より細かく見て行きましょう。まず「授業とは無関係に」ということですが、私の経験則で恐縮なのですが、大学の低年次配当の授業というのは、文系については、経済学部で微積分や線形代数など基礎的な数学の訓練を要求される人たちは別として、語学とか一部を除けばたいして難しくありません。授業を真面目に出てノートをとっていれば、よほど特殊な先生に巡り合わない限りそんなに単位は取れます。そんな環境で、授業で本を読んだとか言っても、鍛えられる読書力は知れていますので、授業とは無関係という条件をつけました。

次に、岩波新書中公新書ですが、これは読書力を鍛える上で、学者が学術的なバックグラウンドを根拠にロジカルに書いた文章で、かつ、ある程度、本の質を維持する観点から設定した目標です。

最後に毎週1冊という指標ですが、上の目標を設定したらキリがないので、初心者が数ヶ月から1年程度のトレーニングで、ひとまず到達すべき水準としてはこれくらいが妥当かなということで、この目標に設定しています。

次回は、具体的にどのような本を選んで、どのように読むことで、目標に達していくかについて書きたいと思います。