保健所帰りの男

保健所への7日間の連続派遣を終えて無事に帰ってきました。

業務的には、保健師の指導監督の下で、積極的疫学調査の電話で陽性患者の病状、持病、行動歴の聞き取り調査、就業制限の告知や各種要請、療養方法決定後の患者に対する電話連絡や自宅療養者への配送サービスの手配、調査で明らかになった同居家族をはじめとした濃厚接触者への電話告知、PCR検査の日程調整、行動自粛要請、自宅療養中の患者に対する健康観察の電話、そしてそれらの結果の調書への記録などをやってきました。

全庁的な応援体制でやっているので、私のような事務職を始め、土木技師や農林業技師、事務部門で勤務中の学校教員など、本庁や出先機関の別を問わず総力戦体制でやっています。3連休の勤務では、若手ばかり勤務させるのは可哀想だということで、知り合いの出先機関の次長ポジションの職員が別グループでPC入力系の作業に参加されていました。

業務は、マニュアルもあり件数をこなせば、出来の良さは別にして、なんとかこなせるようにはなりますが、福祉あるあるで、家族構成、職業、持病や障害の有無、コロナの症状の現れ方などともかくバラエティに飛んでおり、1件1件の電話や記録の整理に結構な時間がかかります。特に困難ケースにぶつかった際に処理に要する時間は、相当なものがあります。1件あたりどれだけ短くても電話で30〜60分、記録まとめに30分はかかるので2時間に1件処理できていれば順調な方で、複雑ケースなら聞き取りだけで90分〜120分コースになることも珍しくありません。別に、無駄に手間をかけたり必要以上に丁寧にやっているというわけではなく、ポイントを押さえながら要領よくやっても、住民相手の聞き取りなので、説明すべきことや聞き返すことなどが、それなりにあり時間がかかるということです。

末端の業務とはいえ、我々のまとめる調書を土台として、保健師や医師などがリスク判定を行い、各種の決定を行なっていくので、責任は重大であり、聞き取り内容に疑義があれば小まめに保健師に相談するように意識してやっていました。

感染者のピークは超えた直後の派遣だったので、我々応援部隊には深夜残業こそなかったものの、それでも連日夜8時〜10時までは業務をやって宿泊先のホテルに帰っていました。仕事そのものの難易度が極端に高いという訳ではないのですが、専門知識も乏しい中、人の命に関わる問題を扱うだけに聞き漏らしや確認漏れが出ないよう、高い集中力や緊張感を強いられ、宿泊先のホテルに帰ったらグッタリでした。

保健所のスタッフは事務や技術を問わず、担当業務に関わりなくコロナ対応業務を分担し、休日もローテーションで出勤していました。保健師は休日返上で深夜残業しており、夜間に病状急変した患者への対応があるので自宅には公用携帯を持って帰って、電話に備えている状況です。もちろん、24時間対応の電話窓口もありますが、窓口で住民の問い合わせの交通整理はできても、もしもの現場対応は、身近な保健所のスタッフが対応せざるを得ません。本当に頭が下がる思いがしました。

今回は、派遣先の保健所を選んでよいということっだったので、以前、福祉部門に在籍した際に深夜残業仲間であり、色々とお世話なった保健師さんが幹部として陣頭指揮を取る保健所への派遣を希望したのですが、私自身は、業務的にあまりお役には立てなかったものの、緊張感のある業務が連日続くなか、馴染みの顔を見て多少ホッとされたようなお顔(といっても目元だけ)が見えて何よりでした。