受益者負担を考える前の下準備−租税の意義など−

 とりあえず、受益者負担について考えていく前に、租税から受益者負担を眺めて見ましょう。考察する余力がないので、租税法の代表的な教科書、金子宏『租税法〔第10版〕』(弘文堂、2005年)より気になる部分を引用しておきます。
 まず、租税の意義について

 前節で見たように、租税は、現代の国家において種々の機能を果たしているが、その本来の機能は、公共サービスを提供するために必要な資金を調達することにある。したがって、租税法の基本概念である租税の意義につき、ここでは、「国家が、特別の給付に対する反対給付としてではなく、公共サービスを提供するための資金を調達する目的で、法律の定めに基づいて詩人に課する金銭給付である」と定義しておきたい。(9頁)

 次に、租税と対価性について

 また、租税は、特別の給付に対する反対給付の性質を持たない(租税の非対価性)。納税義務者が同時に何らかの意味で国家のサービスの受益者であることは確かであるが、それは間接的関係に止まる。この点で、租税は、各種の使用料・手数料・特権料等と区別される。(10頁)

 最後に、登録免許税の記述を…

 登録免許税は、登録免許税法(昭和四二年法律三五号)により、各種の登記・登録等を受けることを対象として課される租税である。その課税根拠については争いがあり、登記・登録等を受けるために支払う手数料ないし特権料であるとする考え方もあるが、弁護士・公認会計士・税理士等の職業団体への登録も課税の対象とされていることにかんがみると、それは、登記・登録等に伴う利益(登記の場合は財産権保護の利益、弁護士等の登録の場合は名称独占・事業独占の利益)に着目した上で登記・登録等を担税力の間接的表現としてとらえ、それを課税の対象とする租税であると考えるべきであろう。(579頁)

以上。個人的には、最後の登録免許税に関する記述が、引っかかります。具体的に、執筆に入った際に考えてみたいところ。