図書館で借りた本

 古い本なんですが、現在の行政法の主要なテキストとしては塩野『行政法Ⅲ』でしか語られることのない公物法について取り上げた本です。これまでは、塩野Ⅲの公物部分は一通り読んだのですが、時代は古くてもより記述の厚いこの本を読んで、公物に関する知見をもう少し深めておきたいと思い借りました。
 また、自治法改正によりその利用の可能性が拡大された行政財産の貸付制度なのですが、目的外使用許可との違いなどを含めた理論的な問題点というのは実のところ十分に詰められることなしに導入されているのではないかという「印象」を抱いています。時間的余裕があれば、行政法的な観点から十分に検討してみたいテーマではあるのですが…。

財政法 新版 法律学全集 (10)

財政法 新版 法律学全集 (10)

 受益者負担論について考えるに当たり、何か書いてあるかと思って借りてみたものの、一見するとあまり関連することには触れられていないような。ま、いいや。

 なお、この上記は有斐閣法律学全集の中の2冊なのです。巻末の一覧を読んで思うのですが、執筆人が豪華だということと、その収録されている範囲の広さというのはすごいものがあります。

市村光恵『行政法原理〔第5版〕』(東京寳文館、大正3年)

 大学の授業で戦前・戦後の主要な行政法学者といえば、美濃部達吉、佐々木惣一、田中二郎などで説明が終わるのですが、大学図書館の書庫の中に入るとそれ以外に色々な行政法の教科書があって、目次など眺めていると、現在の行政法の教科書などと違った趣がありなかなか楽しいものです(←やっぱり、変ですか?)。
 この本との出会いは、学部3年の頃の「行政救済とADR」というテーマの報告を担当することになって、先輩と同期にそれぞれ、大橋真由美論文*1や政府調達苦情処理関係のADR関係の報告をしてもらって、私は一人「行政救済」とは何かと題して、取り合えず、明治以降の主要な行政法のテキストから行政救済の定義している部分を抜き出して*2、比較検討したことがあったのですが、その際に他の教科書における行政救済の定義が曖昧だったのに対して、一番しっかりしているという印象を受けたのがこの本でした。*3
 まあ、今回は手数料についての記述を読み直してみたくて借りてみました。

 財政学者による開発負担に関する研究です。昨年のゼミ論では主に手数料・使用料を念頭に置いた受益者負担論を考えていたので、本書は参照文献から意図的にはずしていました。本格的に受益者負担について考えるとなると、「負担金」というものを受益者負担論の中でどのように位置づけるのかという問題にも整理をつけておく必要があるかと思い再チャレンジ。

入門財政・公共政策

入門財政・公共政策

 料金制度に関する記述があったので借りました。そういえば、全然関係ない話ですが土居・入門公共経済を以前持っていたのですが、宮脇・公共経営論と一緒にどっかに無くなってしまったのですよねー。誰かに貸したまま返ってきていないのか、それとも引越しの荷物で紛れ込んでいるのか。まぁ、後輩に「貸した」つもりが、いつの間にか「あげた」ことになっていて、さらに次の後輩にゆづられていしまったという樋口・憲法という例もあるのですが…。痛いなあ(;一_一)



 というか、仕事の関係で午前様と休日出勤を繰り返さねばならないので、いつ読むのかという根本的な問題が解決されていないのですがorz。

*1:まだ、双書に登場する前だったのが懐かしい。

*2:ただ、行政救済という用語は、現在のようによく使われる用語だったとは言いがたい部分があり、古い教科書になると法の保護とか行政争訟という目次なり、表現の仕方が一般的だったりするのですが、まあマニアックな話なので省略します。

*3:とはいえ、行政法総論及び各論で1,000頁を超え、しかも「之ヲ以テ」とか旧漢字+カタカナでの記述なので、必要最小限度の範囲で読んだことしかないのですが。