法令の読み方入門第3夜―「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を読む―

 さて、第2夜から少し時間があいてしまいましたが、第3夜は引き続き総則規定を読みながら、法令の読み方について考えてみたいと思います。(今回も、全部で9000字近くになってしまいました。少し長いですが、よろしくお付き合いください。)
(3)原則

(国内の処理等の原則)
第二条の二 国内において生じた廃棄物は、なるべく国内において適正に処理されなければならない。
2 国外において生じた廃棄物は、その輸入により国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう、その輸入が抑制されなければならない。

 総則規定には、その法令を運用する上での基本理念や原則等に関する規定がおかれます。この規定においては、廃棄物の処理について国内処理を原則としているわけですが、廃棄物の処理に関する国内処理の原則というのは、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(平成5年条約第7号)」第4条第2項(b)などとも親和性がある規定です(なお、バーゼル条約に関する国内法は、「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(平成4年法律第108号)」です。)。

有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(平成5年条約第7号)

第4条
一般的義務
(前略)
2 締約国は、次の目的のため、適当な措置をとる。
(a) 社会的、技術的及び経済的側面を考慮して、国内における有害廃棄物及び他の廃棄物の発生を最小限度とすることを確保する。
(b) 有害廃棄物及び他の廃棄物の環境上適正な処理のため、処分の場所のいかんを問わず、可能な限り国内にある適当な処分施設が利用できるようにすることを確保する。
(後略)

Article 4
General Obligations
(前略)
2. Each Party shall take the appropriate measures to:
(a) Ensure that the generation of hazardous wastes and other wastes within it is reduced to a minimum, taking into account social, technological and economic aspects;
(b) Ensure the availability of adequate disposal facilities, for the environmentally sound management of
hazardous wastes and other wastes, that shall be located, to the extent possible, within it, whatever the place of their disposal;

(後略)

(補足1:枝番号と孫番号)
 今回の規定は、「第2条の2」という番号でしたが、このように「条」及び「号(項ではありません)」には枝番号が附されます。また、「第2条の2の3」のように孫番号を振ることもできます。このような、枝番号・孫番号というのは法律が度々改正されることに生じてくるものです。つまり、

(改正前)
第1条 ●●
第2条 ××
第3条 △△
第4条 第3条に規定する…

というような規定がある場合に、第2条と第3条の間に新たな新第3条を加えて現在の第3条及び第4条を、それぞれ第4条及び第5条にしようとすれば、原第3条の中の「第3条に規定する」の部分も「第4条に規定する」に改正しなければならないわけです。

(条を追加してしまうと…)
第1条 ●●
第2条 ××
第3条 ■■
第4条 △△
第5条 第4条に規定する…

 実際、条文が大量な法令になりますと、途中に1条追加されるだけでも、後続する相当な条文で改正が生じることになりますから、改正ミス(改正漏れ)が生じたりするリスクも高くなるわけです(特に、他の法令が改正法令の条文を引いている場合などは、他の法令でも改正を行なう必要が出てきてしまいます。)。そこで、枝番号や孫番号を振ることで、

(枝番号で処理すると…)
第1条 ●●
第2条 ××
第2条の2 ■■
第3条 △△
第4条 第3条に規定する…

となり、第4条の規定を改正することなしに、条文が追加できてしまうことになります*1。なお、「項」については、基本的に「条」を段落で分けたものが「項」であるという位置づけですので、枝番号や孫番号が生じません。

(4)責務規定
 責務規定とは、当該法令における国、地方公共団体、国民等の一般的、抽象的な責務に関して定めている規定です。例えば、国民の責務としては、

(国民の責務)
第二条の三  国民は、廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。

のように規定されています。これは、第3夜(補足5)において触れた、

(投棄禁止)
第十六条  何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

第二十五条  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(中略)
十四  第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者
(後略)

のように個別具体的な義務を定めたものではありませんし、罰則もともなっていません。しかしながら、責務規定には当該法令において各法主体に期待される役割分担を表しているものであって、具体的な法政策の構造を理解する上で一つの見取り図になります。例えば、第3条の事業者の責務としては、

(事業者の責務)
第三条 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない
2 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製品、容器等が廃棄物となつた場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し、適正な処理が困難にならないような製品、容器等の開発を行うこと、その製品、容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。
3 事業者は、前二項に定めるもののほか、廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。

となっています。
 第3条第1項においては「単なる廃棄物の排出者」という立場から廃棄物を適正処理するよう責務を規定しているわけですが、第2項においては、そこにとどまらず「物を製造する=廃棄物の大元を生み出す」という立場から自ら製造・販売する製品の「製造⇒販売⇒廃棄」といった一連のプロセスにおける廃棄物処理の観点からの評価(いわゆる、ライフサイクル・アセスメント)を自ら行なうこと、適正処理の方法の情報を提供すること等を求めているわけです。
 なお、国民のところで触れませんでしたが、国民・事業者とも再生利用(リサイクル)等を行ない廃棄物を減量するよう求められていますね。
 次に、国及び地方公共団体の責務規定に続きます。

(国及び地方公共団体の責務)
第四条 市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り、及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たつては、職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。
2 都道府県は、市町村に対し、前項の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努めるとともに、当該都道府県の区域内における産業廃棄物の状況をはあくし、産業廃棄物の適正な処理が行なわれるように必要な措置を講ずることに努めなければならない。
3 国は、廃棄物に関する情報の収集、整理及び活用並びに廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図り、並びに国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう適切な措置を講ずるとともに、市町村及び都道府県に対し、前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えること並びに広域的な見地からの調整を行うことに努めなければならない。
4 国、都道府県及び市町村は、廃棄物の排出を抑制し、及びその適正な処理を確保するため、これらに関する国民及び事業者の意識の啓発を図るよう努めなければならない。

 国及び地方公共団体の責務に関する規定は、当該法令の実施における国、都道府県、市町村の役割分担を規定したものです。
 第1項が市町村、第2項が都道府県、第3項が国という規定になっているわけですが、A市町村は専ら一般廃棄物処理行政を担当し、B都道府県は産業廃棄物行政を担当するとともに市町村における一般廃棄物処理に対する援助し、C国がさらに後見的な立場から廃棄物処理に係る技術開発や財政援助をするという構造になっています。地方自治法がテーマではないので、詳細には立ち入りませんが、廃棄物行政は基本的には「自治事務」なのですが、個別に「法定受諾事務」が混在しています(地方自治法別表参照)。

 さて、責務規定の最後ですが、廃棄物処理法に特有な責務規定として土地及び建物の占有者等に対して清潔保持に関する規定がおかれています。

(清潔の保持)
第五条 土地又は建物の占有者(占有者がない場合には、管理者とする。以下同じ。)は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。
2 建物の占有者は、建物内を全般にわたつて清潔にするため、市町村長が定める計画に従い、大掃除を実施しなければならない。
3 何人も、公園、広場、キャンプ場、スキー場、海水浴場、道路、河川、港湾その他の公共の場所を汚さないようにしなければならない。
4 前項に規定する場所の管理者は、当該管理する場所の清潔を保つように努めなければならない。
5 市町村は、必要と認める場所に、公衆便所及び公衆用ごみ容器を設け、これを衛生的に維持管理しなければならない。
6 便所が設けられている車両、船舶又は航空機を運行する者は、当該便所に係るし尿を生活環境の保全上支障が生じないように処理することに努めなければならない。


(5)基本方針・行政計画

(基本方針)
第五条の二 環境大臣は、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2  基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 廃棄物の減量その他その適正な処理の基本的な方向
 二 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する目標の設定に関する事項
 三 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策を推進するための基本的事項
 四 廃棄物の処理施設の整備に関する基本的事項
 五  前各号に掲げるもののほか、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し必要な事項
3 環境大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 環境大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 この規定は、環境大臣廃棄物処理に関する基本方針を定めるべきことが規定されています。法令というのは、国民の具体的な権利義務に関わる事項を規定するために定めれられていますし、行政運営や個別具体的な施策について規定するものでありません。そこで、法令において国が基本方針を定めるべきことを義務付けることで、廃棄物行政の体系的・効果的な運用がなされるよう期待しているわけです。この規定により、具体的に定められた基本方針として「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(平成13年環境省告示第34号)」です。

廃棄物処理施設整備計画)
第五条の三 環境大臣は、廃棄物処理施設整備事業(廃棄物の処理施設の整備に関する事業で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)の計画的な実施に資するため、基本方針に即して、五年ごとに、廃棄物処理施設整備事業に関する計画(以下「廃棄物処理施設整備計画」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2 廃棄物処理施設整備計画においては、計画期間に係る廃棄物処理施設整備事業の実施の目標及び概要を定めるものとする。
3 前項の実施の目標及び概要を定めるに当たつては、廃棄物の処理施設の整備における課題に的確に対応するため、廃棄物処理施設整備事業における投資の重点化及び効率化を図ることができるように留意しなければならない。
4 環境大臣は、廃棄物処理施設整備計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 環境大臣は、第一項の閣議の決定があつたときは、遅滞なく、廃棄物処理施設整備計画を公表しなければならない。
6 第三項から前項までの規定は、廃棄物処理施設整備計画を変更しようとする場合について準用する。

第五条の四 国は、廃棄物処理施設整備計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。

 先に述べた法第5条の2によって定められた基本方針に基づき、国が廃棄物処理施設の整備について計画を定めるよう規定しています。第5条の3で特筆すべきは、同条第1項によって廃棄物処理施設整備計画について5年毎に作成しなければならないこと、また先の基本方針の策定については、環境大臣は関係機関の長との協議と都道府県知事からの意見聴取(法代5条の2第3項)でよかったわけですが、この廃棄物処理施設整備計画については、その決定を環境大臣のみにゆだねるのではなく閣議決定事項としていることでしょう。政治的・行政的に言えば、大臣で決定できる事項と、閣議で決定すべき事項というのは後者の方が重みが増すことになるでしょう。この廃棄物処理整備計画については、その全体をネットで見ることはできませんが、概要については環境省のサイトに記載されています。

 さて、同条第1項この整備計画の対象となる「廃棄物処理施設整備事業」の定義は括弧書きでされているわけですが、その具体的な内容は政令にゆだねられています。なお、「政令」とは内閣が(閣議で)定めるもので「○○法施行令」という名称で、各省庁の大臣が定める「府・省令」というのは「○○法施行規則」という名称になります。
 この政令で定めるとは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)」第2条の5です。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)
廃棄物処理施設整備事業)
第二条の五 法第五条の三第一項 の政令で定める事業は、次のとおりとする。
一 地方公共団体が行う廃棄物の処理施設(公共下水道及び流域下水道を除く。第五号において同じ。)の整備に関する事業
二 法第十五条の五第一項 の規定による指定を受けた廃棄物処理センター(以下「センター」という。)が法第十五条の六 の規定により行う廃棄物の処理施設の整備に関する事業
三 広域臨海環境整備センターが広域臨海環境整備センター法 (昭和五十六年法律第七十六号)第十九条第二号 の規定により行う廃棄物の処理施設の整備に関する事業
四 日本環境安全事業株式会社が日本環境安全事業株式会社法 (平成十五年法律第四十四号)第一条第一項 の規定により行うポリ塩化ビフェニル廃棄物(ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法 (平成十三年法律第六十五号)第二条第一項 に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物をいう。)の処理施設の整備に関する事業
五 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律 (平成十一年法律第百十七号)第二条第五項 に規定する選定事業者が同条第四項 に規定する選定事業として行う廃棄物の処理施設の整備に関する事業
六 前各号に掲げる事業に附帯する事業であつて、前各号に掲げる事業と一体となつてその効果を増大させるもの

 法技術的には、施行令に記載されている事項を法律に取り込むことは可能なのですが*2、法律の制定には国会の議決と言う非常に重い手続きを経なければなりません。それでは、行政需要の変化に柔軟に対応することは困難になるでしょうし、細かい事項を法律に規定しようとすれば、法律の構造も複雑で条文数も非常に多くなってしまいうでしょう。そこで、定義規定等や具体的な基準の作成を政省令等にゆだねる場合があるわけです*3。他方で、法律上重要な事項を政省令事項にしてしまうと言うことは、行政の恣意的な運用によって国会が定めた法律をいくらでも空洞化させることができるわけですから、法律にどこまで具体的な事項を盛り込むかというのは立法上は重要な意味をもつといえるのではないでしょうか。
 さて、次に都道府県が定める廃棄物処理計画についてです。

都道府県廃棄物処理計画)
第五条の五 都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県の区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理に関する計画(以下「廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。
2 廃棄物処理計画には、環境省令で定める基準に従い、当該都道府県の区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理に関し、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 廃棄物の発生量及び処理量の見込み
二 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する基本的事項
三 一般廃棄物の適正な処理を確保するために必要な体制に関する事項
四 産業廃棄物の処理施設の整備に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し必要な事項
3 都道府県は、廃棄物処理計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、環境基本法 (平成五年法律第九十一号)第四十三条 の規定により置かれる審議会その他の合議制の機関及び関係市町村の意見を聴かなければならない。
4  都道府県は、廃棄物処理計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

都道府県廃棄物処理計画の達成の推進)
第五条の六  国及び都道府県は、廃棄物処理計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。

 これは先に見た、第5条の4と同じような計画に関する規定でありますが、同条が「処理施設整備」に関する計画を定めるのと対象的に、具体的に廃棄物の処理量の見込み等(第2項第1号)を定めることとされています。なお、総則規定には市町村の計画に関する規定がありませんが、一般廃棄物処理について定める第6条以下において登場することになります。
 なお、福岡県の廃棄物処理計画は同県のサイトに記載があります。

(6) 審議会等

(廃棄物減量等推進審議会)
第五条の七 市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量等に関する事項を審議させるため、廃棄物減量等推進審議会を置くことができる。
2 廃棄物減量等推進審議会の組織及び運営に関して必要な事項は、条例で定める。

 この規定は、市町村に設置する「廃棄物減量等推進審議会」について定めた規定ですが、第1項を見れば「置くことができる。」となっています。いわゆる「できる」規定というもので、「置かなければならない」の必置規定にはなっていません。他方で、設置の場合については組織や運用に関する事項は条例事項となっていますので、法律上は廃棄物減量等推進審議会のあり方については議会が適切にコントロールしていくことにます。
 なお、福岡市には同審議会が設置されていないようですので、同じ政令指定都市では札幌市などに置かれているようです。札幌市の場合には、審議会設置のための個別の条例をおかずに、廃棄物処理に係る条例である「札幌市廃棄物の減量及び処理に関する条例(平成4年条例第67号)」に規定をおいています。

札幌市廃棄物の減量及び処理に関する条例(平成4年条例第67号)
第3節 廃棄物減量等推進審議会
(廃棄物減量等推進審議会の設置)
第6条 市長の諮問に応じ、本市における廃棄物の減量及び適正な処理に関する事項を審議するため、札幌市廃棄物減量等推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(組織)
第7条 審議会は、委員20人以内をもって組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験者
(2) 民間諸団体の代表者
(3) 前2号に掲げる者のほか、市長が必要と認める者
(委員の任期等)
第8条 委員の任期は、2年とする。ただし、委員に欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 前条及び前2項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

 さて、第3夜も最後の条文へとたどり着きました。最後は、この規定です。

(廃棄物減量等推進員)
第五条の八 市町村は、社会的信望があり、かつ、一般廃棄物の適正な処理に熱意と識見を有する者のうちから、廃棄物減量等推進員を委嘱することができる。
2 廃棄物減量等推進員は、一般廃棄物の減量のための市町村の施策への協力その他の活動を行う。

 これも、先の審議会の規定と同じ「できる」規定ですので、必ず誰かに廃棄物減量等推進員を委嘱しなければならないというわけではありません。民間の方から、このような委員を委嘱することにより、地域の方々に効率的に施策への協力を求めたり、逆に地域の実情を行政活動にフィードバックすることが期待されるわけです。廃棄物減量推進員とは、あまり馴染みのあるお仕事ではありませんが、国から委嘱されて行政と連携して業務を行なう仕事に社会福祉関係で重要な役割を果たす民生委員の方や、行政上の苦情処理(行政救済)の場面で重要な役割を果たす行政相談委員の方がいらっしゃいます。なお、この2つの職は、それぞれ民生委員法及び行政相談委員法によって定められている仕事です。このような委員は、それぞれ地元の名士の方がなっているわけですが、実際にそれほど世の中に人がいるわけではないようで、家庭裁判所の調停関係のお仕事等の複数の公的な仕事を兼務されているというのが実情のように思います。これらの方々の活躍は、あまり表になることはないですが、非常に重要なものであると考えます。


 さて、やっと総則規定の最後までたどり着くことができました。次回は、駆け足で一般廃棄物処理に関する規定について読んでみたいと思います。

*1:なお、法令の改正に関する基本的な事柄については、後日ごく簡単に取り上げる予定です

*2:具体的には、「廃棄物処理施設整備事業」に関する定義規定を置いて具体的な事業を列記すればよいことになります。

*3:実は、このような定義の仕方は第2条の定義規定においても既出なのですが、第2夜では都合により説明を省略していました。