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憲法で読むアメリカ史(上) (PHP新書)

憲法で読むアメリカ史 下 PHP新書 (319)

　上下２巻読了。非常に面白い新書です。まず、上巻の最初に導入部分としてブッシュ対ゴアの大統領選における混戦を題材にアメリカ合衆国最高裁の政治との関わりについて触れます、その後は、合衆国誕生前夜からほぼ歴史順に、合衆国憲法と合衆国の誕生、連邦制、三権分立、先住民問題、奴隷問題、南北戦争、大統領権限の拡大、ニューディール、公民権運動などのアメリカの歴史的諸問題を、憲法と憲法に関する訴訟という観点から見ていく本です。歴史的事実や判例理論が淡々と解説されるのではなく、最高裁判事などの生い立ちや任命の政治過程も触れられていて、各事件の歴史的背景について丁寧な説明をしながら立体的な記述がなされていますし、出来事に対する評価もかなり客観的というか、プラス面マイナス面の双方に目を配る努力がされているような印象を受けます。
　高校の世界史で習ったようなアメリカ史上の政治・経済上の出来事が、実は、深く合衆国憲法と関わっていたのだというのは非常に驚きでした。平易に書かれている本なので予備知識がなくても読めるとは思いますが、大学低年次の憲法を一通り学び終えた学生さんが読むと憲法問題への興味がわくのではないかなと思います。