記録に残るより、記憶に残りたい?−あるいはマスコットキャラと著作権の話−

 「<平城遷都1300年祭>マスコットキャラに市民から批判(3月2日2時31分配信毎日新聞)」まあ、まずは記事に添付されているマスコットキャラをじっくりご覧ください。



 これはまたシュールな(笑)

 
 重要なのは、可愛いか可愛くないかというよりも、愛着が持てるかどうかの問題と思うのですけどね(論点のすり替え?)まあ、印象には残ると思うし、コアなファンとか現れるじゃないんですか(無理?)というのは冗談ですが、これ「デザインの専門家12人の計21案から選んだ。」らしいですが、ぜひ別案とかも見てみたいものです(^_^;)他の案も似たり寄ったりだったのか、それとも選んだ側の思い入れがかなり入っているのか。


 「著作権は500万円で買い取った。」とのことですが、この積算根拠って何なのでしょうか。otsukare_mode自身が著作権関係の取引相場がよく分からないのことを断った上で少し試算してみますと、著作権の利用許諾収入で元を取ろうと思うと考えて、グッズ等の販売価格の5%を利用料として取ると仮定するしましょうか。この場合、500万円を稼ごうと思えば許諾先が1億円近くグッズを販売しなければならない計算になりますよね。これ高いんでしょうか、安いんでしょうか?
 事業費1000億円規模だと、やっぱり街のいたるところにマスコットキャラが溢れることになるのでしょうし、私自身、うちの会社の知的財産担当して、常日頃、将来的な権利関係のトラブルを回避する観点からこの手の権利は買い上げろと担当課へプレッシャーをかけている方なので、あまり他の団体のやっていることをどうこう言えないのですけどね。著作権は、まだ比較的よい方だと思うのですが、知的財産権って一般的に流通市場が狭いし*1、財としての個別性が高いので、取引価格の適正性ってよく分からないところがあります。

 ちなみに、もう一点だけ気になることを指摘しておくと、恐らく著作権*2を買い上げたのは、記事からストレートに読めばこの「平城遷都1300年記念事業協会」なのかもしれません。もし、そうだとするとあまりよくはないと言いますか。任意団体を作ってこの手の事業を推進するのは、行政がよくやる手法なのですが、法人格がない団体では将来的に商標権取得とかを視野に入れた場合にイロイロと問題が出てくるんですよねぇ。


 なお、マスコットキャラクターの募集等に着手されようとしている方がいらっしゃいましたら、文化庁の下記のページが有益です。

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/keiyaku_intro/index.html

著作権関係の契約書を自動作成してくれるシステムも便利ではありますが、同ページの最下部にあるマニュアルが便利ですね。otsukare_modeにとっては担当課に、説明の手間が省けるから(笑)

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/keiyaku_manual.html

*1:売却して稼ぐよりは、自己実施やライセンスで稼ぐのがメインですから。

*2:というか、著作権と一言で言っても、具体的に契約上、著作何権を買っているのかが問題なのですが