売却地の土壌汚染

 「王子製紙に賠償命令=土壌汚染で5億9000万円−東京地裁(平成20年7月8日配信 時事通信)」とのこと。土地は、2000年7月に購入とのことですから、1999年に制定されたダイオキシン類対策特別措置法よりは後、2002年に制定された土壌汚染対策法よりは前の事案てことでしょうかねぇ。ちなみに、記事は損害賠償が認められたとの内容ですが、土地取引の中では民法の瑕疵担保の問題として考えていくことになります。


 土壌汚染にも、工場用地の底地が廃液等で直接汚染されるようなパターンと、敷地上には特に汚染の原因となるようなものがなくとも隣地にあった工場やガソリンスタンドから漏れ出た廃液等で汚染されるもらい汚染のパターンとがあります。

 土壌汚染調査については、すべての売却対象地で実施するのが理想なのでしょうが、コストの問題もありますし、売却対象地及び近隣地の土地利用の状況を遡って調査し、対象地に土壌汚染がある可能性があるかどうかを確認した上で、汚染の可能性が疑われる場合には、専門業者による実地調査を入れるといったような形になるのではないかと思います。

 調査の結果、土壌汚染が実際に見つかれば、自ら汚染を取り除くか、購入希望者に十分に趣旨説明を行なったうえで汚染の除去費用を不動産価格から控除して売却するなどの方式になるのでしょうが、もらい汚染だった場合には原因者への求償の問題等も出てきたりして結構話は複雑になるハズです。

 あと予断ですが、土地の売買上でトラブルになりやすいのは地下埋設物の問題です。建物の基礎が残っていたとか、利用されている配管が埋まっていたりとか。これも土地利用の状況を遡って調査するとか、埋設物がある旨を明示して売却するとか、地下○mまでは地下埋設物がないことを確認済みとか言って売るような形なるのでしょうね。


 いずれにしろ、不動産売却の担当者って、売却対象地に汚染が確認されたり地下埋設物が見つかった時点で負け組確定ではないかという印象が(-_-;)